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戸籍・2

 今日では改新の詔は後世つくられたとするのが通説だが、大化2年(646)に改新の詔が発布され、政治改革の方針が示された。大化3年(647)から天智3年(664)に投棄された飛鳥京の木簡には『白髪部五十戸、〓十口』とある。〓は「五」と思われ、50戸を単位に庶民を把握する試みが進められていたことを示している。『日本書紀』には天智9年(670)二月条に『戸籍を造り、盗賊と浮浪者とを断ず』とみえ、畿内はもちろん九州から常陸・上野まで造籍された。氏姓を確定する台帳だったと考えられる。
 日本で律令制が制定されて戸籍制度が導入されたとき、社会構造は華北の戸のような小家族集団を基礎とはしていなかった。統一造籍によって村落を把握するには体系的な法が必要である。天智天皇が天智7年(668)に制定したとされる近江令が注目されるが、近江令は存在自体が疑われている。
 各地の豪族がつくった戸籍に代わって天智9年(670)に日本で最初の全国的な戸籍である庚午年籍がつくられた。現存はせず、全国的にすべての階層の人民を対象に造籍したかは疑われている。氏や姓をもつ首長や豪族の民までは把握できなかった可能性がある。
 天武10年(681)に飛鳥浄御原令の編纂が開始され、持統3年(689)に完成した。その戸令に基づいて8月に戸籍が作成され、浮浪人を取り締まった。持統4年(690)9月に全国的な戸籍である庚寅年籍が作成された。現存しない。
 庚寅年籍は6年に1度作成するという「六年一造」の造籍の出発点になった。五十戸一里を基準に戸を編成し、戸内の家族(戸口)の名・年齢・戸主との続柄などを詳述して個々の家族構成を把握したので、年齢別人口構成などを具体的に知ることができた。持統5年(691)3月、良賤身分を定める原簿の機能も付け加えた。大宝3年(703)7月には庚午年籍を戸籍の原簿とした。
 庶民を編成する作業が完了すると、持統6年(692)9月に班田大夫が四畿内(山城国・大和国・河内国・摂津国)に遣わされ、庚寅年籍に基づく口分田の班給が開始された。同時に全国でも班田収授法が施行されたと推測される。
 戸籍と同じような律令時代の史料に計帳がある。計帳は国ごとにまとめられ、調・庸・雑徭・軍役など課役を徴収するための基本台帳として毎年作成された。性別・年齢・身体的特徴が里長(郷長)によって書き上げられた。
 計帳には手実・歴名・目録の3種の文書があった。
 手実とは戸主が作成し、毎年6月末日までに京職や国司に提出する申告書である。戸主以下全戸口の姓名・年齢・続柄を書き上げた。当時の識字層からみて、郡司や里長が手実の作成を代行する場合も多かったと推測される。手実に基づいて官司では歴名・目録が作成された。
 歴名は戸籍のように各戸の手実の内容を一里(50戸)分列挙して、一巻の帳簿に編成したものである。各戸ごとに負担すべき調庸額が記録され、おそらく里全体の調庸額も記録された。前年の戸口との異同が詳細に示された点が戸籍と異なる。歴名の作成や京への進上に関する規定は令にはない。
 目録は具体的な戸の内容を記載しておらず、数字だけの統計文書だった。課役負担の有無を基準として一国および各郡の戸数・口数が詳細に集計され、前年度との異同、その年の調・庸額が示された。令規定によって毎年8月末日までに計帳を京に進上するように義務づけられていたが、それは目録を指す。京都では毎年の歳入予定を知るとともに、全国の口数、特に課口数を掌握していた。
 戸籍は令に拠れば30年保管された後に廃棄されることになっていたが、当時の紙は貴重品だったため廃棄されずに他の官司や官寺などに回され、裏面を再利用するのが一般的だった(紙背文書)。正倉院文書には戸籍を再利用したものが含まれ、正倉院の宝物とは別の意味で歴史学者に多くの情報を提供している。
 霊亀元年(715)9月、里が郷に改められ、郷は2~3の里にわけられたが、天平12年(740)ごろに里は廃止されて郷が地方行政の最下位の単位として残った。

テーマ : 日本文化 - ジャンル : 学問・文化・芸術

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日本人の名前のルーツを探ることで日本の歴史を違う角度から見ることができます。家系図づくりをしている人・一族のルーツの探し方がわからない人・祖先の古いお墓がある人はもちろん、自分の名字・姓・氏の由来を知りたい人、家紋や戸籍謄本(除籍謄本)に興味がある人、先祖が武士か農民か知りたい人、珍名・奇名など珍しい苗字を探している人、明治時代好きの人も読んでみてくださいね。家族や親戚との話のネタにもなります。他人の名字でも起源を調べると面白いことがたくさん出てきますよ。調べ尽くしたら苗字研究家に転職できるかも? 苗字の歴史って楽しいです。異説・新情報がありましたら教えてください。

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